2006年商標法改正のための主要改正検討課題別推進方案

 

目 次

1.権利保護対象の拡大

2.摸倣商標の登録遮断のための商標法上の根拠規定を準備

3.商標異議申立制度の合理的改善

4.先使用による法廷通常使用権制度導入

5.国際商標制度の合理的改善

6.権利不要求制度の導入検討

7.商標優先審査制度の導入検討

韓国特許庁は2006年3月に商標法改正のための討論会を開催したが、この席には大韓弁理士会の商標制度委員会の委員らが参加して改正内容に関する討論を交わした。現在特許庁が推進している商標法改正方案は、非常に大幅な改正であって、‘Post6ヶ月時代’商標・デザイン革新基本計画’によるものである。特許庁の説明によると、‘Post6ヶ月時代’とは、商標・デザインの審査期間短縮を重点的な課題として推進した結果、去る2005年に平均審査期間6ケ月を達成したことを反映して、今後の政策推進の重点を既存の審査期間短縮から審査の質向上、出願人の便宜、国際的な商標制度との調和に置くという意志を反映するものである。

以下、上記討論会で提示された特許庁の商標法改正案のうち主要な部分のみを簡略に要約して説明する。

1.権利保護対象の拡大

1.1.現況

技術の発達等によってホログラム、サウンド商標など非典型的な商標が有用な商標として台頭してきているが、韓国商標法はこれらを保護対象と認めていない。

イ.記号・文字・図形・立体的形状またはこれらを結合したもの

ロ.イ目の各々に色彩を結合したもの

(商標法第2条第1項第1号イ目及びロ目)

1.2.改正推進方向

現在保護されている商標の形態の他に視覚的に認識することができるホログラム、動く商標などを登録可能な標章として認めるものの、サウンド商標、香り商標など非視覚的な標章は除く。

1.3.関連条文改正草案

ハ.イ目、ロ目以外に視覚的に認識可能な全ての表示で構成されたもの(以下、“非典型的商標”という。)またはイ目、ロ目の各々に非典型的商標を結合したもの(新設)

2.摸倣商標の登録遮断のための商標法上の根拠規定を準備

2.1.現況

周知・著名の要件に対する大法院の厳格な立証責任の賦課などによって、他人の独創性ある商標をそのまま摸倣した商標が多数登録されている。

2.2.改正推進方向

現『商標審査基準』第18条第4項の内容と趣旨を法に規定する。

創作性が認められる他人の商標を、同一または極めて類似するように模倣して同一または類似商品に出願したことが、情報提出または異議申立などを通じて客観的に立証される出願商標は、第1項で規定する公正且つ信用ある取引秩序を乱す虞がある商標とみなす。ただし他人の商標が国内外での周知の程度によって指定商品の適用範囲を変えて判断することができる。(『商標審査基準』第18条第4項)

2.3.関連条文改正草案

本規定は保護対象商標の周知性要件排除または緩和問題、摸倣商標の範囲問題を基準としていくつかの方案が提案された。

第1案:商標法第7条1項第4号に規定し、周知性要件を排除するものの、独創性要件を含む方案

4.商標の構成自体またはその商標が指定商品に使用される場合、一般需要者に与える意味や内容が、社会公共の秩序に反したり社会一般人の通常の道徳観念である善良な風俗に反する場合と、悪意により他人の独創性ある登録商標を摸倣した商標のようにその商標を登録して使用する行為が公正な商品流通秩序や国際的信義と商道徳など善良な風俗に反する場合に該当する商標(商標法第7条第1項第4号改正)

第2案:商標法第7条1項第4号に規定しながら周知性程度を緩和する方案

4.商標の構成自体またはその商標が指定商品に使用される場合、一般需要者に与える意味や内容が公共の秩序または善良な風俗に反したり特定人の商品を表示するものとして相当程度認識されている他人の商標を、同一または極めて類似するように摸倣した商標のように、その商標を登録して使用する行為が公正且つ信用ある取引秩序を乱す虞がある商標(商標法第7条第1項第4号改正)

第3案:商標法第7条第1項第12号で周知性要件を削除するものの、独創性ある登録商標に限定する方案

12.他人の商標(地理的表示を除く)と同一または類似な商標として不当な利益を得ようとしたり特定人に損害を加えようとする等不正な目的で使用する商標。この場合、悪意で、独創性がある他人の登録商標(地理的表示を除く)を同一または極めて類似するように摸倣した商標は、本号に相当するものとみなす。(商標法第7条第1項第12号改正)

第4案:商標法第7条第1項第12号で周知性要件を緩和する方案

12.国内または外国の需要者間に特定人の商品を表示するものとして相当程度認識されている他人の商標(地理的表示を除く)と同一または類似な商標として不当な利益を得ようとしたり特定人に損害を加えようとする等不正な目的で使用する商標。

3.商標異議申立制度の合理的改善

3.1.現況

商標異議申立期間が出願公告後30日と過度に短い。特に登録後の異議申立制度への改正議論があった。

3.2.改正推進方向

登録前異議申立制度を維持するものの、“出願公告後2月以内”に異議申立期間を合理的に延長する。

3.3.関連条文改正草案

@出願公告がある時には、何人も出願公告日から2月以内に第23条第1項各号の1、または第48条第1項第2号ないし第4号規定に該当することを理由として特許庁長に商標登録異議申立をすることができる。(商標法第25条第1項改正)

4.先使用による法廷通常使用権制度導入

4.1.現況

厳格な登録主議制度の運営の結果、商標ブローカー等による保存商標及び有名商標を摸倣した商標登録出願が増加。

4.2.改正推進方向

先使用者に通常使用権を付与するものの、商標法第7条第1項第9号の周知性を認められる商標、または第7条第1項第11号の‘一定程度知られた商標’に対象を限定する。

4.3.関連条文草案

第1案:先使用権の認定範囲を第7条第1項第11号の場合に限定

第57条の3(先使用による商標を継続使用する権利)@他人の商標登録出願前に不正競争の目的なしに国内で他人の商標登録出願と同一または類似する商品に対して、同一または類似する商標を使用した結果、他人の商標登録出願の時にその商標が自らの業務に関する商品を表示するものと需要者間に相当程度認識されている時には、その先使用者及びその業務を継承した者は、その商品に対してその商標を継続使用することができる通常使用権を有する。

A商標権者または専用使用権者は、第1項の規定による通常使用権者に互いの商品またはサービス業間の出処の誤認・混同を防止することができる適切な表示を付着することを請求することができる。(第57条の3新設)

第2案:先使用権の認定範囲を周知商標に限定

第57条の3(先使用による商標を継続使用する権利)@他人の商標登録出願前に不正競争の目的なしに国内で他人の商標登録出願と同一または類似する商品に対して、同一または類似する商標を使用した結果、他人の商標登録出願の時にその商標が自らの業務に関する商品を表示するものと需要者間に広く認識されている時には、その先使用者及びその業務を継承した者はその商品に対してその商標を継続使用する権利を有する。

A商標権者または専用使用権者は、第1項の規定による通常使用権者に互いの商品またはサービス業間の出処の誤認・混同を防止することができる適切な表示を付着することを請求することができる。

5.国際商標制度の合理的改善

5.1.現況

マドリッド協定議定書に基づく国際登録出願については、同一内容の通知書を国際事務局と出願人に同時に発送して予算、労働力が二重にかかる問題があり、在外者として国内代理人がいない場合、拒絶決定不服審判の請求期間が発送日から30日であるので過度に短い。

5.2.改正推進方向

通知書は国際事務局にだけ通知するものの、拒絶決定不服審判請求期間を合理的に調整する。

5.3.関連条文改正草案

5.3.1.国際商標登録に対する審査結果通知特例部分

第86条の24(拒絶理由通知の特例)

国際商標登録出願に対して本法を適用するにおいて、国際事務局に対する職権仮拒絶通知は第23条第2項の規定による拒絶理由の通知とみなす。(新設)

第86条の29(商標登録の可否決定の特例)

国際商標登録出願に対して本法を適用するにおいて、国際事務局に対する仮拒絶確定通知、仮拒絶撤回通知及び保護付与記述書通知は、第31条第2項の規定による商標登録の可否決定の謄本送達とみなす。(新設)

=>仮拒絶確定通知を在外者に発送する場合、発送日が30日法廷期間の起算日になるが、上記第86条の29が新設されれば送達を受けた日が起算日となる。

5.3.1.国際商標登録に対する審査結果通知特例部分

第1案 国際商標登録の特例規定新設方案

第86条の30(拒絶決定に対する審判の特例)

国際商標登録出願に対して第86条の29の規定による仮拒絶確定通知を受けた者が不服がある時には、国際商標登録出願に対する拒絶決定がある日から国際事務局から仮拒絶確定通知書の送達を受けた後30日になる日まで審判を請求することができる。(新設)

第2案 審判事務取扱規定上の法廷期間延長制度活用方案

第21条(法廷期間の延長)

A特許審判院長は拒絶決定に対する不服審判を請求する者が在外者の場合、特許法第15条第1項の規定によって職権で期間を延長して、延長期間は2月として1回に限る。この場合には第1項の規定による期間延長申請は認めない。(新設)

6.権利不要求制度の導入検討

6.1.現況

権利不要求制度は、出願商標に自他商品の識別力がない部分が含まれている場合、商標登録出願書にその識別力がない部分については独占的権利を主張しないとの禁止権放棄の意志表示をする制度である。商標権の権利保護範囲を明確にすることにより効力範囲をめぐる法的紛争の発生を減らす効果があるので、導入するか否かを検討する。

6.2.改正推進方向

出願人や審査官が裁量によって権利不要求をすることができるようにし、商標審査基準上の普通名称部分、慣用的表示部分、または識別力がない立体的形状を含む立体商標の立体的形状部分など、権利保護範囲の明確化が特に要請される場合には、権利不要求を義務的とする。

6.3.関連条文改正草案

第22条の2(権利不要求)@出願人は商標登録を受けようと出願する商標に第6条第1項各号の事由に相当する識別力がない部分がある時には、その識別力がない部分に対しては権利を主張しないとの意思表示をすることができる。

A審査官は商標に第6条第1項各号の事由に相当する識別力がない部分がある時には、期間を定めて出願人にその識別力がない部分に対しては権利を主張しないことを要求する通知をすることができる。

B第1項による意思表示は任意に撤回することができない。ただし、出願人に責任が負えない事由による時にはその限りでない。

C第2項による権利不要求通知は、第23条第2項による意見提出通知とみなす。(本条新設)

7.商標優先審査制度の導入検討

7.1.現況

出願後から審査完了まで第3者による使用によって出願人が予想外の不利益を受けたり更新登録出願期間を遵守できず新規出願しなければならないなどの場合に、審査請求の順序に関係なく早期に審査する商標優先審査制度を導入する必要がある。

7.2.改正推進方向

商標の場合にも権利化の緊急性が要求される場合がありえるので、優先審査制度の導入を肯定的に検討する必要がある。