韓国知職財産權関連法律の最近改正動向

 
目     次

  T.デザイン保護法(従来の意匠法)の改正
  U.商標法の改正
  V.不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の改正
  W.特許法改正に関する立法予告
  X.実用新案法改正に関する立法予告


T.デザイン保護法(従来の意匠法)の改正

1.改正及び施行

2004年12月31日改正、2005年7月1日から施行

2.主要改正内容及び改正趣旨

 韓国は今回の意匠法の改正において‘意匠’という用語を‘デザイン’に変え、それに基づいて法名も意匠法からデザイン保護法に変更した。

2.1.書体の保護


これまで書体は従来意匠法上の意匠としても認められれず、著作権法上の著作物でも認められれないことにより、一時には活発に進められた書体開発の努力が大きく衰退する結果を招来した。今回のデザイン保護法は書体をデザインの定義に含めることによって、これまでの法的保護の死角地帯に置かれていた書体をデザイン権として保護することができるようにした。ただし、タイプ、組版、印刷などの通常の過程において書体デザインを使用する行為については、書体デザイン権の効力が及ばないようにすることで書体が有する公的機能がデザイン権によって大きく制限されるという懸念を今回の法改正に反映した。関連規定は次の通りである。

第2条(定義)この法で使用する用語の定義は次の通りである。 1.“デザイン”とは物品[物品の部分(第12条を除く)及び書体を含む。以下、同一である]の形状・模様・色彩またはこれらを結合したもので、視覚を通じて美感を起こすものをいう。(改正) 1の2.“書体”というのは記録や表示または印刷等に使用するために共通的な特徴を有する形態で作られた一組の書体(数字、文章符号及び記号などの形態を含む)をいう。(新設) 第44条(デザイン権の効力が及ばない範囲)

A書体がデザイン権として設定登録された場合、そのデザイン権の効力は次の各号の1に該当する場合には及ばない。<新設>

1.タイプ・組版または印刷などの通常の過程において書体を使用する場合
2.第1号の規定による書体の使用によって生産された結果物である場合

2.2.創作性要件の強化

容易に創作することができるデザインであるかどうかを判断するにおいて、従来には国内で広く知られた形状・模様及び色彩などをその判断の基礎資料にしたが、今回のデザイン保護法は国内または国外で公知されたり公然に実施されたデザインなどをその判断の基礎資料に追加してデザイン登録を受けられるデザインの創作性の要件を大きく強化した。関連規定は次の通りである。
 
第5条(デザイン登録の要件<改正2004.12.31>)@工業上利用することができるデザインとして次の各号の1に該当するものを除いては、そのデザインに対してデザイン登録を受けることができる。
1.デザイン登録出願前に国内または国外で公知されたり、公然に実施されたデザイン
2.デザイン登録出願前に国内または国外で頒布された刊行物に掲載されたり、電気通信回線を通じて公衆が利用可能になったデザイン
3.第1号または第2号に該当するデザインに類似するデザイン

Aデザイン登録出願前にそのデザインが属する分野において通常の知識を有する者が第1項第1号または第2号に該当するデザインの結合によるか、または国内で広く知られた形状・模様・色彩またはこれらの結合によって容易に創作することができるデザイン(第1項各号の1に当該するデザインを除く)に対しては第1項の規定にもかかわらずデザイン登録を受けることができない。<改正>
 
2.3.その他の改正内容
 
1)出願の変更を出願の補正に変更してデザイン登録出願人は類似デザイン登録出願を単独のデザイン登録出願に、単独のデザイン登録出願を類似デザイン登録出願に変更するなどの補正ができるようにした。
 
2)従来はデザイン審査登録出願人のみデザイン登録出願に対する出願の公開を申請することができるようにしたが、デザイン無審査登録出願人もデザイン登録出願に対する公開を申請することができるようにした。
 
3)デザイン無審査登録出願の場合、従来は新規性及び創作性欠如などで登録が不可能であった情報及び証拠の提供がある場合にも、審査官はデザイン登録拒絶決定をすることができなかったが、情報と証拠の提供がある場合に審査官は新規性及び創作性欠如などを判断してデザイン登録拒絶決定ができるようにした。
 
4)デザインを秘密にすることを請求したデザインに関するデザイン権者及び専用実施権者は、そのデザインに関する特許庁長の証明を受けた書面を提示して警告した後でなければデザイン権または専用実施権を侵害した者に対する侵害の禁止または予防を請求することができないようにした。
   
 
U.商標法の改正
 
 
1.改正及び施行
2004年12月31日改正、2005年7月1日から施行
 
2.主要改正内容及び改正趣旨
これまで韓国では、地理的表示を制限的に保護して来た。現行の商標法は顕著な地理的名称、及び産地表示などを特許庁に登録することができないと規定している。もし、これらの標章を、特許庁に登録することができるようになれば、地理的表示に対する独占権を特定人に付与する結果になるので、これを防止するためのものであった。しかし、特許庁はこのような地理的表示保護制度を変更して、地理的表示を特許庁に登録することができるように認めるが、地理的表示を団体標章として出願するようにして、特定個人に権利を与えるのではなく、その地域の生産者団体または加工者団体が権利を持つようにした。このため、多くの規定が新設・改正され、その主要内容を整理すれば次の通りである。

1. “地理的表示”を、商品の特定品質・名声、またはその外の特性が本質的に特定地域から始まった場合に、その地域で生産・製造、または加工された商品であることを表す表示と定義して、地理的表示団体標章は、地理的表示を使うことができる商品の生産・製造または加工業者だけで構成された法人が、登録を受けることができるようにする。

2. 以前には商標としての識別力を備えることができなかった産地及び顕著な地理的名称などにあたる商標は、登録を受けることができなかったが、産地または顕著な地理的名称などにあたる商標でも地理的表示団体標章として出願された場合には、登録を受けることができるようにする。

3. 地理的表示団体標章制度が新設されることによって、地理的表示団体標章が先出願されて登録された場合には、その登録された団体標章と同一、又は類似する商標などの登録を受けることができないようにする。

4. 発音は同じでありながる異なる地域に該当する同音異義語の地理的表示団体標章の場合には、これを異なる地理的表示団体標章として登録することができるようにするが、消費者の混同を防止するための表示を同時に使うようにする。

5. 地理的表示団体標章の場合に、その地理的表示が原産地国家で保護が中断されたり、使用されなくなる場合を無効審判請求事由とする。
 
 
 
V.不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の改正
 
 
1.改正及び施行

2004年1月20日改正、2004年7月20日から施行
 
2.主要改正内容及び改正趣旨
 
2.1.ドメインネームの先行獲得行為を不正競争行為に規定
 
韓国においてドメインネーム紛争を解決する法律的な手続は訴訟と調整である。調整は基本的にUDRP(Uniform Domain Name Resolution Policy:統一ドメイン名紛争処理方針、略称‘UDRP’)がその準拠規定になるが、訴訟では韓国商標法上の‘商標権侵害’関連規定が実体法の役割を果たしてきた。しかしながら訴訟手続においてドメインネーム紛争を伝統的な商標権侵害理論で解決するには限界があるという指摘があり、それに基づいて多様な立法議論が進められ、このような立法議論は2004年1月20日《不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律》(以下、‘不正競争防止法’という)にドメインネーム関連規定が新設され、2004年1月28日、長期に及んだ論議の結果、《インターネットアドレス資源に関する法律》が制定されることによって一段落された。この二つの法律の関連規定は次の通りである。

不正競争防止法第2条第1号ア目(新設)
ア.正当な権原がない者が次のいずれか一つの目的で国内に広く認識された他人の氏名、商号、商標その他の標識と同一または類似するドメインネームを登録、保有、移転または使用する行為
(1)商標など標識に対して正当な権原がある者または第3者に販売したり貸与する目的
(2)正当な権原のある者のドメインネームの登録及び使用を妨害する目的
(3)その他の商業的利益を得る目的
 
インターネットアドレス資源に関する法律第12条
第12条(不正な目的のドメインネームなどの登録禁止)
@何人も正当な権原がある者のドメインネームなどの登録を妨害したり正当な権原がある者より不当な利得を得る目的でドメインネームなどを登録してはならない。
A正当な権原がある者は第1項の規定を違反してドメインネームなどを登録した者に対して法院にそのドメインネーム等の登録抹消を請求することができる。
 
これによりドメインネーム紛争を訴訟手続で解決しようという者は@他人のドメインネームの使用が自身の商標権を侵害する行為であることを主張するか、A商標権の存在の要否に関係なく自身の氏名、商号、商標、その他の識別標識が国内で広く知られていることを前提に他人のドメインネームの登録、保有、移転、使用行為が不正競争行為であると主張するか、B上記二つのケースに該当しなくても他人のドメインネーム登録行為に不正な目的があることを理由でインターネットアドレス資源に関する法律の‘一般規定’に訴えることができるようになった。

ただし、商標法及び不正競争防止法上の規定は‘kr’ドメイン(韓国の国家最上位ドメイン)のみだけでなく‘com’などの一般最上位ドメイン関連の紛争で適用されるが、インターネットアドレス資源に関する法律第12条の一般規定は‘kr’ドメイン関連紛争にだけ適用される。
 
2.2.営業秘密侵害罪に対する処罰の強化
 
現行の不正競争防止法上の営業秘密保護規定が企業の営業秘密保護に不十分であり、営業秘密侵害が最近企業など組織的な次元で行われる傾向に対応できないという指摘によって営業秘密の範囲、処罰対象などに対し全般的な法改正が行われた。その主要内容を整理すれば次の通りである。
 
1)従来には企業の前、現職役職員に対してのみ営業秘密侵害罪を適用したが、改正規定は‘何人も’企業の営業秘密を国内外に流出する場合にはこれを処罰するようにした。
2)営業秘密で保護される対象も、従来の企業の技術上の営業秘密から企業の技術上、経営上の営業秘密に拡大した。

3)その代わり、営業秘密侵害犯を‘目的犯’に限定して、正当な事由なく不正な利益を得たり企業に損害を加える目的で営業秘密を流出することを要件とした。

4)処罰も強化して国外流出の場合、7年以下の懲役または1億ウォン以下の罰金に処したのを、‘7年以下の懲役またはその財産上利得額の2倍以上10倍以下の罰金’とし、国内流出の場合、5年以下の懲役または5千万ウォン以下の罰金から‘5年以下の懲役またはその財産上利得額の2倍以上10倍以下の罰金’に処するようにして不当利得額の還収を可能にした。

5)営業秘密侵害の予備、陰謀、未遂の行為も処罰するようにした。
6)営業秘密侵害罪に対し親告罪規定を削除し、両罰規定の対象になるようにした。
 
改正及び新設された主要規定は次の通りである。
 
不正競争防止法
第18条(罰則)@何人も不正な利益を得たり、企業に損害を加える目的でその企業に有用な営業秘密を外国で使用したり外国で使用されることを知っている状態で第3者に漏洩した者は7年以下の懲役またはその財産上の利得額の2倍以上10倍以下に相当する罰金に処する。(改正)
A何人も不正な利益を得たり、企業に損害を加える目的でその企業に有用な営業秘密を取得、使用したり第3者に漏洩した者は5年以下の懲役またはその財産上利得額の2倍以上10倍以下に相当する罰金に処する。(改正)
 
第18条の2(未遂)第18条第1項及び第2項の未遂犯は処罰する。(新設)
第18条の3(予備・陰謀)@第18条第1項の罪を犯す目的で予備または陰謀した者は3年以下の懲役または2千万ウォン以下の罰金に処する。(新設)
A第18条第2項の罪を犯す目的で予備または陰謀した者は2年以下の懲役または1千万ウォン以下の罰金に処する。(新設)
 
2.3.他人の商品の形態を摸倣する行為を不正競争行為と規定
 
通常商品の形態はデザイン(意匠)として保護されるが、デザインに関する権利は出願及び審査の過程を経て登録されてから発生する。このようにデザイン権を確保するのには時間と費用が要求される反面、商品の新しいデザインを摸倣した商品はデザイン権の発生よりはるかに早く市場に流通される場合が多くなり、このような問題点は外国の企業から頻繁に指摘されてきた。特に今回不正競争行為に含まれた‘他人が製作した商品の新たな形態を摸倣した商品を販売するなどの行為’は商品の新しいデザインが国内で広く知られていなくても適用されるために本新設規定の活用価値は大きい。
 
新設された規定は次の通りである。
 
不正競争防止法第2条第1号ザ目(新設)
ザ.他人が製作した商品の形態(形状、模様、色彩、光沢またはこれらを結合したものをいい、試作品または商品紹介書上の形態を含む。以下、同一である)を摸倣した商品を譲渡、貸与またはそのための展示をしたり輸入、輸出する行為。ただし、次の1に相当する行為を除く。
(1)商品の試作品製作など商品の形態が備えられた日から3年が経過した商品の形態を摸倣した商品を譲渡、貸与またはそのための展示をしたり輸入、輸出する行為
(2)他人が製作した商品と同種の商品(同種の商品がない場合にはその商品と機能及び効用が同一または類似な商品をいう)が通常的に有する形態を摸倣した商品を譲渡、貸与またはそのための展示をしたり輸入、輸出する行為
 
 
 
W.特許法改正に関する立法予告
 
 
韓国特許庁は現在特許出願に対する審査期間を1年以内に操り上げるようにし、今年126名の審査官を特別に採用する一方、審査期間の短縮による法律整備に着手した。その結果2005年4月産業資源部は特許法の一部改正及び実用新案法の全部改正に関する立法予告を公告した。
ところが、今回の改正案は審査期間の短縮による関連規定の改正に止まらず、これまで進められてきた特許制度上の諸般議論の結果を反映することによって大幅な制度変化を予告している。その主要内容を考察すれば次の通りである。
 
 
1.特許法一部改正法律案の立法予告
 
1.1.審査期間の短縮と関する改正事項
 
1) 特許法改正案は審査期間の短縮により出願公開前に審査が行われる場合に備えるために、出願公開前に拒絶決定が確定された出願に対して従来には再び出願できないようにしたが、今後は出願人がその技術内容の補完を通じて再び出願することができるようにして特許を受ける機会を拡大した。
 
2) 実用新案先登録制度の廃止により、現行法の二重出願制度の代わりに変更出願制度を導入して、優先権主張基礎出願の取下時期を1年3月とするなど関連規定を整備した。
 
1.2.新規性関連改正事項
 
1) 現行法は新規性喪失の事由のうち‘刊行物公知’は国際主義を適用した反面、‘公然実施’については‘特許出願前に国内で公知されたり公然に実施された発明’と規定して国内主義を採択していたが、改正案は国外で公然実施された技術に対しても特許を受けることができないようにした。
 
2)‘公知などがされなかった発明とみる場合’において、現行法は出願前の6ケ月以内に出願人が行った特定の公知行為のみを認定したが、改正案は出願前の6ケ月以内に出願人が行った全ての公知行為を‘公知などがされなかった発明’と認めるようにした。
 
1.3.審判関連改正事項
 
1) 現行法は互いに類似する性格の異議申立制度と無効審判制度を共に運営することで権利確定の遅延及び紛争費用などの増加を招来したが、改正案は異議申立制度を廃止し無効審判制度に単一化するようにした。
 
2)改正案は特許無効審判において、訂正の認定要否を判断する時には特許要件を判断しないようにし、無効の要否を判断する時に特許要件を判断するようにして手続が迅速に行われるようにした。
 
1.4.PCT関連改正事項
 
改正案は国際特許出願の国内段階移行時に翻訳文提出期限を“最初出願日から30ヶ月”から“31ヶ月”に延長し、国際出願の明細書の補正も現行法の“審査請求の翌日から”から“審査請求以降”に変更した。

 
1.5.期間満了日計算の変更
 
週40時間勤務制の全面実施によって改正案は土曜日が手続満了日となる場合、その土曜日は期間の計算から除くようにした。
   
 
X.実用新案法改正に関する立法予告
 
 
特許出願に対する審査処理期間が大幅に短縮すると展望されることによって、迅速な権利設定を目的として導入された実用新案先登録制度の長所が減少し、相対的に先登録権利の誤、濫用など先登録制度の問題点が浮び上がっている点を勘案し、実用新案制度を審査後の登録制度に改正して手続を簡素化することを内容とする実用新案法全部改正法律案が2005年4月発表された。
 
1.実用新案法全部改正法律案立法予告の主要内容
 
1) 改正案は実用新案先登録制度を審査後の登録制度に転換した。したがって、先登録制度と関連して導入された基礎的要件の審査、出願却下、技術評価制度を廃止し現行特許制度と合致させた。
 
2) 現行法は実用新案登録出願に基づいて国内優先権を主張する後出願がある場合には、先出願された実用新案登録出願を直ちに取下げと見なすようにしたが、今後は特許出願の場合と同様に後出願の出願日から1年3月が経過した後、取下げと見なすように変えた。
 
3) 製品の寿命が短い実用新案登録出願の技術内容の特性を考慮し、出願日から3年以内に審査請求期間を短縮した。